※夢主が人を殺した事後描写有り
鉄の女
「ごめんなさい」
は謝罪の言葉を口にしながら床に額をつけ土下座をする。椅子に座ったままの俺の眼下に広がる光景は傍から見ればきっと異様なんだろう。震えるほどの快楽と高揚感が腹の奥から湧き上がり無意識に口角が上がった。
例えば以外の人間が俺の前で土下座をしたってこんな気持ちには決してならない。俺は裸足をの口元あたりに持っていくと、そのまま足で顎を持ち上げる。
「『ごめんなさい』だけじゃわかんねえって……。ちゃんと言えよ、なぁ?」
伏せられていたの目がゆっくりとこちらに向けられ、息を飲むほどの綺麗な顔と目が合う。
「西谷さんのお気に入りのキャバ嬢を殺しました。ごめんなさい」
「なんで殺した?」
「あなたが私以外の女の人と楽しそうにしてるのが嫌でした。ごめんなさい」
淡々と話すの姿を見る限り、俺に怯えているわけでもなければ、自分のしたことに困惑しているわけでもなさそうだった。まるで熱と感情を失くした人形かのような無機質さがそこにある。
良く見ると床に突いた手に輝くネイルや、露出度が高い煌びやかなドレスにいくつかの血がついていた。返り血だろう。どうやって殺したかは知らないが、その程度の量を浴びるだけで済んだのなら流石俺の女と褒めてやりたい所だった。
ふと、柔らかな何かが足の甲に触れたことに気が付く。の口唇だった。深紅の口紅で化粧された口唇は俺の足を舐めるかのようにゆっくりと動き、赤い筋を作っていく。
「……ごめんなさい、西谷さん、許してください」
とどめの上目遣い。この女は何もかも分かってやってやがるんだ。
「どこで覚えたんだよ、そんなの」
足を退かして今度は手での頬に触れた。
俺がを許せないはずがない。そんなことは最初から分かっていた。俺はいつだってこいつを許して受け入れてしまう。足の甲に残る口紅の筋を見ながら、これが『惚れた弱み』というやつなのかと考える。しかしそんな甘い言葉で片付けようとした自分があまりにも滑稽だった。
何もかもを見ないようにしながらに覆いかぶさり口唇を塞ぐ。覚えのある匂いと味がして、俺の腹の奥から再び快楽が湧き上がった。今夜はもう、止められそうになかった。
(2024.11.9)
龍が如く7外伝 発売一周年おめでとうございます。