まるごと飲み込んで

 エビチリ、回鍋肉、酢豚、青椒肉絲。様々なメニューをいくら出しても、彼女は全てを口に運び幸せそうな顔で咀嚼を繰り返す。俺はテーブルに頬杖をつきただその姿を見つめた。

「美味しい? 」

 問いかけには手を止め、首を縦に何度もふった。小さな口に料理を運ぶその姿はなんだかとても可愛らしく見え、同時にどこか色っぽくもある。

「あの、趙さん。そんなに見られてると食べにくいんですけど」

 それこそ穴があくほど見つめていた俺の視線に耐えかねたのか、は小さく呟く。いま俺は、たとえばその口唇で俺を食べて欲しいとか噛んで欲しいとかそんな風に考えている。どちらかと言えば猟奇的というより不埒な考えに近く、自然と口角が上がり俺はそれに抵抗することもなく笑い続けた。

「なにニヤニヤしてるんですか……」

 は目を細め怪訝そうにこちらを見ながら問う。俺は内心を誤魔化すように「別に? 」と返答し首を傾げて見せた。

 さてと、今夜はどうやって、彼女を俺の部屋に誘おうかな。


‎(2021‎.‎9‎.‎28‎)‎