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売春

 俺の幼馴染は相変わらずつまらなそうな仏頂面をしていた。は昔からこういう顔が得意だ。人をいらつかせる天才で、何を言おうと何をしようとこれっぽっちも可愛くない。どうして俺はこんなやつを何年も傍に置いているのか。答えは簡単。は俺を気持ちよくさせてくれるからだ。

 夜。分かっているのはただそれだけで、一体いまが何時なのか、夜明けまでどのくらいの時間があるのかなんて分からない。古臭いベッドが軋む音に合わせての眉間の皺が深くなる。声を出さないように耐えているのか口元に手をあて、険しい顔で俺を見ていた。この女は俺が何をしようと意地でも「気持ちいい」と言いはしない。

 の細い腕をとってベッドに押し付けた。抑えるものがなくなり、吐息交じりの高めの声が小刻みに聞こえてくる。一定のリズムでの髪が揺れ、肌が揺れ、汗が揺れる。漏れ出す甘い声と部屋に響く卑猥な音が気持ちを高ぶらせ、独特の感覚がこみ上げてくるのが分かった。

「中に、出すぞ」

 そう言うと目の前にあるの顔がハッとした。大きな目をより一層に大きくさせて俺を見ている。そんな驚きの表情をしつつも、抵抗するそぶりは見せない。

「なぁ。何とか、……言えよ、出すぞ。生だ。孕んじまうなぁ?」

 浅い息のままなんとかその言葉を口にすると、の顎を掴み強引に目を合わせる。いまお前はこの俺とセックスをしている。ガキの頃からずっと一緒に居た、何もかもを知り尽くした俺にめちゃくちゃにされている。念じるように目を強く見つめた。

「大夢なら、いいよ」

 途切れ途切れの言葉が聞こえる。飲み込まれそうなほどの強い快感に襲われ、一度だけ強く奥歯を噛みしめた。自身を勢い良く引き抜いての腹の上に欲を吐き出す。飛び散った液体が傷一つない綺麗な肌を汚していった。

 例えばここで仕様もないフィクション動画みたいに「中に出さないで」と俺の行動を拒否してくれたら、俺を蹴飛ばして大声で誰かに助けを求めてくれたらどんなに良かったか。「大夢ならいい」だと?ふざけるな。

 は俺を気持ちよくさせてくれる。そんなのは真っ赤な嘘だ。このクソみたいな女を抱くたびに俺は、臆病で醜い自分を思い知る。この先もずっと「お前が好きだ」だなんて、口が裂けても言えやしないんだ。


‎(‎‎‎2022‎.‎3‎.‎12‎‎‎‎)‎